東海道の思ひ出 part 1


昔話をひとつ。
あれは3年前、学生を卒業する時、学生ならではのバカなことを最後にしようと決め、卒業旅行として東京〜福岡を自転車で行くことにした。
行く前に、インターネットで自転車で向かうルートを決定した。とりあえず国道一号線(東海道)を走っていれば京都まで着くということがぼんやりとわかったので、「東海道を下る」以外は何も決めずに自転車旅行を決行した。
一日目。順調に箱根を越え、静岡は清水市まで到着。時期は2月末でかなり寒いので、駅近くのビジネスホテルにて宿泊。「俺ってひとりで何やってんだろう?」という疑問が頭をかすめる…。
二日目。外は大雨…。それでも時間が限られているので決行。先輩に借りた雨がっぱを着用し、東海道を下る。するといつのまにか高速道路のようなところを走っていることに気づく。かなり長いトンネルに入る。歩道のようなところはなく、真っ暗なトンネルの中を、自転車を降りて歩く。すぐ隣りを猛スピードで車が走る。このときほど現代文明の恐ろしさを肌で感じたことはない。
あまりに恐ろしくて、途中で見つけた側道より下の道路に降りる。
それから自転車でわけのわからない道を漕いでいると、なにやらパトカーがウンウン鳴らして俺の方に近づいてくる。そして俺の横で停止。「えっ、オレ?」
警察官いわく、東海道のバイパスを自転車で走っている不審者がいると、車から苦情が殺到したらしく、出動したようだ。ご苦労様です。確かに見た目は不審者ですね。警察官に事情を話し、なんとか納得してもらう。そして驚愕の事実を教えられる。東海道には新東海道旧東海道があって、新東海道は一部自動車専用道路になっているということだ。俺はとりあえず「1」と書いてある道をずっと下っていたため、いつの間にか自動車専用道路に迷い込んだというわけだ。
警察官とさよならしたあと、雨の中旧東海道を下り、浜名湖にて雨が激しくなり、付近のユースホステルにて宿泊。
続く…。(シリーズです。)