慣れ

悲しいことだが、就農したときより、今の方が牛に対する思い入れがなくなっていると感じることがある。
就農した当時は、何もかもが新鮮に感じられたせいか、牛一頭一頭に対する思い入れがあったような気がする。ところが最近は、日々の仕事に追われている中で、牛一頭に対する思い入れというよりは、牛群の中の一頭として見るようになってしまった。
いずれは経営をしなければならないから、全体を見る能力を養わなければいけないのだが、自分は果たしてそういう人になりたいのだろうか?
どれだけ経験を積んだとしても、自分はいい意味で素人でありたい。生まれた時もうすでに運命が決まっている乳牛が、我が牧場にいるときは幸せであるように。