考えと行動

世の中には、自分が持っている考えをそのまま実行しないと気がすまない人、自分の考えと今やっていることが違っていても、主張せず(できず)そのまま周囲に合わせている人がいる。
どちらが良いとか悪いとかではなく、俺はどちらかというと後者に属する。もともと小心者なので、事なかれ主義というか、自分の考えを曲げずに押し通すことで波風が立つようだったら、その考えを胸に秘めておこうと思ってしまう。
なので、俺には周りとの衝突を避けずに自分の主張を曲げない人をうらやましく感じるときがある。「自分もそうなりたい」と思っていても、なかなか自分の性格を変えるのは難しいものだ。
俺は元々酪農に興味があったわけでもないし、就農して二年足らずなので、俺の酪農に対する考え方はかなり稚拙だし、経営者として熟慮した考え方でもない。ただ、「自分はこうしたい。将来のためにはこうしなければならない」という理想だけが先走っている、と感じる。いろんな人と話すと、それが実感できる。俺はまだまだだ。
でも、俺は今持っている考えを曲げるつもりはない。ここまで来て自分の考えを曲げるということは、死ぬまで自分にうそをつくということになる。そしてそれは、自分のエゴを通して北海道に来たこと、それを受け入れてくれた福岡の両親に対して、ひどいことをすることになる。
でも、今の俺の理想はまだまだだから、それを胸の中に秘めて、まずは一日でも早く一人前の酪農家になれるように、自分なりに仕事をしていくしかないのだと思う。
誰かがこんなことを書いていた。「二十代は皿洗いの時期だ」と。あと何枚洗えばよいのか分からないが、とにかく洗い続けよう。そしてそんな自分を理解してくれている家族と友人が遠くにいてくれることも心の支えにしよう。