失われゆく故郷の原風景

先日実家の母と電話で話をした。
ニュースでは、九州の米が暑さに負けて実が全然入っていないということを聞いていたので、実際そうなのかを聞いてみた。実家の方は米どころであたりは水田が一面に広がっている。
母は農家出身ではないので詳しいところは分からないが、素人から見てもかなりの不作だと分かるくらいだったそうだ。地球温暖化が進んで、米が一番おいしく出来る地域が徐々に北上して、皮肉なことに今俺が住んでいる北海道の米がおいしくなってきているという。
しかも、実家の方では某大手自動車会社の工場の景気がよいらしく、部品やエンジンの工場などが近くに出来るようで、周囲はアパート、マンションの建設ラッシュらしい。そしてここ最近の米の生産調整で、水田の耕作放棄地も目立つという。水田がアパートに…。
かつて福岡に住んでいたころ、自転車で通学中に当たり前のように見ることができた水田。秋にはこうべを垂れる稲穂を見ることができた。そして冬には刈り取った後の田んぼで凧揚げをした。もしかしたら今度帰省したときにはその風景が一変しているかもしれない。実際、俺が通っていた中学校は別の場所に移転して、かつてあった場所にはでっかい倉庫みたいなのが出来ていた。少しずつだが確実に変わってきている。
高校では俺はただ一人の田舎者としてよく地理の先生に馬鹿にされていた。少しコンプレックスに感じていたかもしれないが、今にして思う。田舎に生まれてよかったと。
いつか子供を連れて実家に帰ったときに、自分はこんな豊かなところで住んでいたんだよと自慢したい。まあ今住んでいるところがかなりの田舎だからあんまり驚かないかもしれないけれど。
結論。俺は田舎が似合う…。