農家の生活

先日、札幌にて後輩と話をしたとき、「農家の生活ってどんな感じですか?」という質問を受けた。他の知り合いにもよく同じ質問を受ける。俺の周りは農業に携わっている人がほとんどいないから、まあ当然だとも言える。
農家の生活の一般的なイメージとして、「生活が単調だ」というものがあると思う。実際、俺も就農当時は、生活が単調で、死ぬまで同じか…と思ったものだ。
俺も含めて、現代人は、自分の人生に何がしかのステップアップが必要だと思っている(かもしれない)。転勤、出世などなど、常に新鮮な環境に身を置きたいという願望がある。
でも、農家の生活をする中で、環境は変わらなくても、毎日の仕事の内容が同じでも、いろいろな変化があって、自分はこれまでその変化に気づいていなかっただけかもしれないと思うようになった。
例えば季節の変化。これは農家でなくても感じる。夏は暑い。冬は寒い。そして季節に伴う食べ物の変化。今はサンマが美味しい。
そして命。生まれる命もあれば、死ぬ命もある。牛や猫。そしていろんな野生動物。食卓に出る魚だってそう。牛に食べさせる草もそうだと思う。
だから、そういうことを感じていれば、まったく単調だと思わない。今は、そんな命を日々感じていて、自分の「生きる」というイメージが少しずつ変化しているのに気づいた。
これまでは、「生きる」=「自分の夢をかなえる」という感じだった。
でも、今は「生きる」=「牛や猫、そしていろんな動植物と同じように、生きるために生きる」という感じ。もっと言うならば、牛がモーというように、猫がニャーというように、俺もオッパッピーというように生きたいという感じ。
つまり、シンプルに生きたいと思うようになった。
それほど、今自分が目にする命のドラマは、心に訴えるものがある。