弟よ

自分は、大学入学と同時に福岡を離れてから、毎週日曜の夜に実家に電話をするのが習慣になっている。まあ親孝行というほどのものではないけれど…。
今日も電話した。競馬の厩務員をやっている弟が、福岡の競馬場で仕事のため滞在していたようで、少し親と会うチャンスがあったようだ。
母は、弟がやせていると心配していた。馬の調教などがあるために、体重を低く維持しなければいけないのだが、やっぱり親からしたら心配なようだ。
しかも、今所属している厩舎の親方がかなり厳しいらしく、結構こたえているとのこと。電話で聞いているだけでも心配になってきた。
弟は、中学校の終わりごろからサラブレッドの世界に興味を持ち、そこから一直線で今の仕事に就いた。それでも、どんなに好きな仕事でも、辛いこともあるようだ。
自分の仕事もそうだが、生き物相手。あんまり気を抜くことができない。そして必ず訪れる別れの時。馬の世界も、競走馬を引退してからは、幸せな人生(馬生?)を全うできる馬はかなり少ないらしい。
まあ牛も牛舎を出たら必ず食肉になる。
正直、福岡に住んでいたころは、自分のことしか頭になく、兄らしいことは一切やらなかった。そういうことは、離れてみて初めて悔いに残るらしい。
偶然、二人は生き物相手の仕事に就いたわけだが、それ以前の問題で、やっぱり頑張ってほしいと思う。いい結果を望んでいる。そして、弟にとって良い、幸せな環境で仕事ができることを。