放牧

放牧が始まってからは、午前の仕事が終わった後に放牧地に見回りに行っている。この時間が一番楽しみだ。
放牧地からモシャモシャあちこちから音がする。牛が夢中で新鮮な草を食べる。
ニュージーランドの酪農は、一年中草が生えるので年中放牧である。穀物が高騰している中、自給飼料をより効率的に利用しなければいけないという流れになってきているので、我が町の農協もNZ酪農を視察したりしながら、放牧の技術について勉強している最中である。
ただ、そのままマネをするわけにはいかない。なぜなら北海道は一年の半分が冬だからである。そのため、どんなに長くても放牧は半年しかできない。ということは、冬場のための牧草を収穫しておかなければならない。
それでも、やはり放牧は自分から見るとかなりすばらしいものだと感じる。なぜなら、牛の前にえさをもっていかなくても牛が自分で草を探して食べてくれるし、牛が放牧地で排泄する糞尿はいずれ放牧地の栄養分になり、僕は糞尿の処理に汗を流さなくてもよい。そして牛が牛舎に入ってくれて搾乳をすると、ミルクを牛から頂くことが出来る。
そして何よりも、青空の下、緑の草原の上で牛が元気に草を食べている光景が好きなのである。
酪農に携わっていない人に向かって、放牧について熱く語るのもなんですがね…。