牛の頭の中


搾乳をしているときや、餌をやっているとき、放牧の見回りをしているときなど、よく牛と目が合う。
そのとき、「こいつは今どんなことを考えているのだろう?」と考える。
去年、仕事を始めたばかりのときは、どの牛も同じ牛に見えたし、どんなことを考えているのか、とか全然分からなかった。
でも、まだ一年しか経っていないけれど、牛だって人間と同じくらいいろんなことを考えているんだなと思えるようになった。
人間中心で物事を考えると、複雑な感情や言語を持っているのは人間だけで、それ以外の動物は人間より下等だと考えられるかもしれない。
僕らだって、牛から乳を搾って収入を得ているわけで、牛はただの家畜だと言い切れば簡単かもしれない。
でも、俺はそうではないと思う。
人間が消化できない草を牛乳に代えてくれて、俺達に恵をもたらしてくれる。
写真の牛は、我が牧場の牛の中で、最も人懐っこい牛。何を考えていると思うだろうか?