別れの時

今朝、二頭の牛が牧場を去った。どちらの牛も長く働いてくれた功労牛だった。
牛は牧場を去ると、老牛ホームなんてあるはずもなく、そのまま屠場に持っていかれて肉になる。
そして俺達人間がそれを食べるということだ。
牛達がトラックに乗せられるとき、さすがに悲しかったが、酪農に関わる上では避けては通れない場面なので、最後まで見送った。「長い間働いてくれてありがとうございました」と思いながら。
明日、新しい牛が空いた場所に入る。その牛は今日出ていった牛の孫だ。そんな風にして牧場は日々回っている。
今日入った新しい牛が長い間働いてくれるように、俺もしっかりと働こうと再確認したのであった。
続く。