沖縄に行くの巻


7月3日から5日まで、前にいた研究室の先生に頼まれて、学会の発表のために沖縄に行った。仕事をしながら発表の準備をすることは少し大変であった。草刈りの時期なので行くのは諦めていたが、牧場主の「必要とされているときはできるだけそれにこたえた方がいいぞ」という一言に励まされ、行くこととする。迷惑をかけてばかりである…。
<7月3日>
空港に到着した途端、久しぶりの熱気にいきなりやられた。初めての沖縄なので暑さは覚悟していたが、北海道からなので余計に暑く感じる。この日、「南北間の移動距離が最も多い日本人100人」の中に自分は入るのではないだろうか?
この日はウェルカムパーティ。会議場の前にあるビーチにてバーベキュー。米軍基地の近くということもあり、ビーチには外国人がたくさん。沖縄の現実を垣間見る。パーティ後に先生の滞在するホテルに戻り、先生の前で発表練習をした。いろいろ発音の間違いなどがあり、課題が山積み。ホテルに帰ってから発表の練習をする。テレビでは中田引退のニュース。そろそろ俺が必要になるか。
<7月4日>
発表当日。午後の5時からなので、それまでいろんな人の発表を聞く。ネイティブの英語は速くて分からん。でもそれなりに内容は分かるものもある。興味深いものもあって楽しむ。いよいよ自分の発表。発音に気をつけて比較的一語一語落ち着いて言うようにする。なんとかなった。ただ質問に対して正確に答えられなかったのが残念。まあこのくらいの準備であれば仕方ないでのである。そして会場には俺の親父が。実は俺の親父は沖縄にて単身赴任中なのである。発表はばれないように見ていたらしい。少しは親孝行が出来たかもしれない。その日の発表で俺の役目は終わり。学会は金曜日まであるが、俺は一日限りの登録であった。

親父と居酒屋にて晩飯。「豚足を食べたい」という俺のリクエストで店を選んだのに、店にはなかった。「仕方ないけん北海道に豚足30本くらい送っちゃあけん!」と親父。それはむしろ嫌がらせに近い。21時くらいに親父の住んでいるアパートに帰る。親父は同僚と3人暮らし。けっこうきれいにしている。そのまま同僚の一人と親父と俺で行きつけの飲み屋へ。昔話に花が咲く。「雅樹は豚足が好きで、ちっちゃい時に風邪引いてお母さんが何食べたいって行ったときに、豚足が食べたいって言って、豚足たべたらじんましんが出たとばい。」「雅樹は泣き虫で、怒って家の外に出したら、えんえん泣きながらもうしませんもうしませんって言いよったばい。」そしてカラオケで親父の歌を始めて聞く。歌は忘れたが親の子に対する歌を歌う。少しジーンとなる。帰って親父の部屋で寝る。親父のいびきがうるさすぎて寝れない。

<7月5日>
北海道に帰る日。朝飯は親父が作る。親父の家事を初めて見る。意外としっかりしている。やっぱり単身生活が長いんやな。親父の計らいできれいな海に少しだけ泳ぎに行く。20分だけ親父と泳ぐ。海には誰にもいない。おぼれないか確認して泳ぐ。泳ぐ。力を抜けば体は浮くことを確認。泳ぐ。楽しい。
そのまま那覇に向けて出発。途中でお土産を調達。そして親父と別れる。飛行機にて思ったこと。「やっぱり俺は親父の息子なんやな。九州人なんやな。」離れたところに行って改めて感じる。日本人が海外に行って日本人として意識することに似てるのか分からんけど。暑さが少し恋しい。家族には迷惑をかけている。
北海道に着く。寂しさはまだ癒えない。
そして今日。いつもどおり仕事。牛はいつもどおり反すう。牛の顔で寂しさは癒える。